タイトルにある通り非常に長い実習名ですが、こちらはフィールド調査において重要な基礎技術や安全管理、リスク回避方法などを、実技を中心に身につけることを目的としています。
4泊5日の行程で、救急救命法・オフロードや事故時の自動車操作法・地図読み及び登山・ロープワーク・木登り・崖登り・野営などなど、盛りだくさんの内容をこなします。今回は、新潟大学農学部と理学部に所属するフィールド科学人材育成プログラム 21名、農学部流域環境学プログラム 9名、山形大学と京都大学から各 2名の学生が参加しました。
総勢34名(+教員・TA含めると41名)の大所帯での実習となりました。
【1日目】
港に到着後、学生達は佐渡市消防本部で救急救命講習を受講しました。
全員が受講を終えて、全員が演習林宿舎に到着したのは18時半頃でした。
夕食後の安全管理に関する講義は、23時頃まで続いたとの事。
初日から、夜遅くまでお疲れさまでした!
【2日目】
午前中は宿舎周辺で、自動車に関する講習です。
室内で事故事例や保険に関する講義を行った後、演習林の公用車や教員の車を見ながら車両ごとの特徴や注意点を学びました。
私の車も「一般車両」代表として、オフロードに適した車両との比較対象に。
(こんなことになるなら事前に洗車して置けばよかった…鳥の糞やクモの巣だらけで恥ずかしかったです)
私もタイヤ交換やバッテリーのつなぎ方など忘れてしまっていたため、大変勉強になりました。
事故がないのが一番ですが、山道や雪道では何が起こるかわかりませんからね。
タイヤの特徴や交換の目安をしることは大事です! |
いざというときにタイヤ交換もできないと困ります |
バッテリーが上がったときの救援も、忘れてしまいがち |
これほど多くの学生が突然来て大量の食材を買い漁っては、佐渡のスーパーの人もきっと驚いたことでしょう。
その後、夕食までの時間は小休憩。
佐渡研究室の学生による研究室紹介や、研究室訪問の時間が取られました。
夕飯の後は、残り3-4日目の作業で必要な地図読みや基本のロープ結びの講習です。
翌日以降の行動のために身につける必要があるとあって、この日も遅くまで活動が続きました。
【3日目】
天気は快晴、いい登山日和です!
人数が多いため、二手に分かれて登山を行いました。
宿舎に近い関集落から登る外海府ルートと、両津港の近くにある北松ヶ崎集落まで回って登る内海府ルートです。
両側から登ると演習林の林道を横切りどこかですれ違い、お互いのスタート地点に到着することになります。
さらにスタートを班ごとに少しずらし、標高と共に変化する植生の特徴を記録してもらいながら行動します。
途中、道に迷ってしまったりハチに刺されてしまうなどアクシデントもありましたが、日暮れ前までに全員が下山することができました。
私自身も「リスクマネジメント」を
(幸い、ハチに刺されてしまった学生も大事に至らず安心しました)
山道を歩きなれていない学生は、途中急な斜面やわかりづらい分岐点など、少々苦労した様子。
連日の疲れも出たのか、尾根沿いの演習林林道に着いたときにはぐったりしている姿も。
(私も無事たどり着いたことに安心して、写真を撮り忘れてしまいました…)
そのような中でも、植生調査だけではなくキノコや鳥、カエルやカナヘビなどなど、各々の興味ある生物をがっつり追いかける元気な姿も見られましたよ。
観察しながら歩いて、これは何の樹木? |
ウインナーのようなツチアケビは、そこかしこしで目立ちます |
前を歩く男性班は、沢で何か生きものを見つけた様子 |
涼しい沢でひと休みして、また頑張ろう |
帰りは楽々♪でも滑らないようにね |
フクロツチガキはこれでもキノコ。中心の袋からぽふぽふと胞子を出しますよ |
きれいな鳥の巣の落し物も!…台風で落ちてしまったのでしょうか |
中には数が行き渡らないものもあるようで…じゃんけん争奪戦となって盛り上がっていました。
これで野営も快適に過ごせる? |
活動としてはいよいよ最終日。
この日も一日中動き回ってハードなスケジュールになる予定。
と、いきなり早朝から避難訓練です!!
何と言ってもこの実習の目的は「リスクマネジメント」を身につけること。
『近海の地震で津波警報が出た』という想定のもと、宿舎裏の丘への避難を促しました。
この避難経路は6月の新潟・山形沖地震の直後に新たに整備されたもので、まだ実際に利用されたことはありません。
今回の実習で、初めて30名超の避難を想定した動きを確認することができ、ハード/ソフト両面から課題も洗い出すことができました。
学生の皆さん、朝から全力疾走でお疲れ様でした。
最後の急斜面…ここまで逃げればきっと大丈夫 |
どの項目も地上から5m以上は高い場所での作業となり、見ているこちらも緊張してしまいます。
皆さん本当にたくましいですね…下から応援していましたが、高所恐怖症の私には人工壁と木登りは無理そうでした。
しかし、物足りない?学生達は自主的に周辺の木や岸壁を登り始める始末…
思いのほか、クライミングの楽しさにはまってしまった学生が多くいた模様です。
全員が怪我なく終えられたことが、何よりです!
本間先生が見せる見本では、簡単そうに見えるから不思議です |
自然壁では確保役(ビレー)との呼吸も大事ですね |
信頼感のある良い支え! |
人工壁は、10m程の高さからザイル1本で下ります |
リズムよくジャンプして、楽しそうに下りる学生も |
木登りは育林系実習より高い約6mのはしごです |
…はしごの上端から、さらに枝を使ってまだ上へ! |
樹幹に枝を固定するロープワークを学ぶと… |
はしごがなくても簡単に木に登れちゃいます |
こちらは6段目を作っているチャレンジャー |
金剛杉に下りる広場に設置した野営地に、最後の車が到着したのは日が暮れた直後のこと。
その頃には、先発隊はテントの設置を終えて夕食の準備を始めていました。
班ごとに決めたメニューは、らーめん、カレーうどん、すき焼きなどなど…
外で作って食べると、また美味しく感じますね!
出来上がるのが待ち遠しい…! |
マシュマロも美味しそう |
カレーうどんは足りるかな? |
昼のロープワークを生かして自作のハンモックも登場 |
夜間も天候に恵まれ、あまり寒さを感じることもなく朝を迎えました。
宿舎に戻り、用具の片づけをして実習も終了となります。
テントは干してからしまいましょう |
ハンモックも紐を再利用するため解体中 |
これで皆さんも立派なフィールドワーカーの一員ですね |
これから本格的に野外に出て調査を始める学生さんも多いことでしょう。
この実習で身につけた技術・経験を生かして、ぜひ安全に研究生活を乗り切ってくれることを願います!
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