佐渡研究室修士1年のFです。
8月10~15日にかけて新潟大学農学部の野生動植物生態学実習が実施されました。
実習は一昨年度から同様、新型コロナウイルス感染対策のため開催地を演習林から五十嵐キャンパスに変更して行いました。私はTA(ティーチングアシスタント)として本実習に参加しました。
実習のコンセプトは「木を丸ごと1本切り倒して、その全貌を丸裸にしよう(意訳)」というものです。3日間かけて木を伐採、根っこも掘り起こし、様々な項目を測定していきます。
伐採の対象となる樹種はニセアカシア(ハリエンジュ)です。北アメリカ原産の外来種で、瘦せた土地でも生育できることから、日本各地に広く分布しています。木本の生物多様性を低下させる特徴をもっており、侵略的外来種ワースト100に選定されています。大学の圃場内にも若いニセアカシアが多く生育していました。そんなやっかいものは2年前から本実習の伐採の対象となってきました。ちょうど2年前は私が実習生として参加した年でもありました。当時見た景色から比べると、ニセアカシアの本数が減ってきたような、、、気もします。ある意味実習の成果と言えますね。
1日目:サンプル木の伐採、根茎の掘り起こし、葉むしり、樹木の形質(樹高/地際径/葉・幹・根の湿重量)の測定、葉の形質(葉の厚み/葉面積)の測定
まずは切り倒す木を選定し、必要な項目を計測したら早速伐採にとりかかります。
伐採したら、その後は根っこを掘り起こしつつひたすら葉むしりを行います。地道な葉むしりと根っこを掘り起こすという体育会系の作業を、メンバーを交代しながらこなしていきます。
初日は葉むしりと根っこの掘り起こしの作業途中でタイムアップとなりました。慣れない作業からか、みなさんなかなか疲れた様子でした(自分も)。しっかり休んで明日も頑張りましょう。
2日目:根茎の掘り起こし、葉むしり、葉の形質(蒸散速度・クロロフィル濃度)の測定
2日目は昨日の作業の続きから再開です。根っこの掘り起こし作業を進めていくと、なんと4つの班が選定した木がクローンとして地下部で繋がっていました!
1本に見える木が地下でこんなにしっかりとつながっているとは驚きです!こんな姿が見られるとは学生たちの努力の甲斐があってです。自分も思わず何枚も写真を撮ってしまいました。
この後、根や幹、枝の重量を測って2日目は終了となりました。中には根の重量が50kgを超えた木もあり、2日目もなかなかハードな1日でした。
3日目:潜伏芽の観察、データの取りまとめ
3日目は切り倒した幹の樹皮をはがし、潜伏芽の観察を行いました。潜伏芽とは長年にわたって休眠状態にあるものをいい、通常は樹皮の下で待機しています。幹が切断されたりすると成長をはじめ、萌芽更新を行います。
最後に取得したデータをまとめて解散となりました。測定したデータも多く、レポートをまとめるのはなかなか大変かと思いますが、学生のみなさん頑張ってください!
本実習をTAとして参加させていただいて、2年前に実習生として参加していた頃を思い出し、懐かしい気持ちになりました。実習生の目は木本という自然の生命に真正面から触れ、輝いていたように感じました。今回はニセアカシアという1種のみでしたが、佐渡では多くの樹木に触れることができます。新型コロナウイルス蔓延が落ち着き、佐渡という多様性豊かなフィールドで実習ができる日が来ることを願うばかりです。