2022年9月4日日曜日

伊豆諸島・神津島と佐渡島でのツリガネニンジン調査

こんにちは。
佐渡研4年生のAです。
私はツリガネニンジンなどの訪花昆虫について研究を行っています。
今回はツリガネニンジンについて、7月下旬に行った伊豆諸島・神津島での調査と、8下旬に行った佐渡での調査について紹介させていただきます。

私は関東地方出身なのですが、伊豆諸島には行ったことがなく、ワクワクした気分で船に乗り込みました。
そして、汽船からはなんと、大きなクジラを間近に見ることができました!船の近くでクジラが姿を現すことはとても珍しいらしく、なんとも幸運な出会いに恵まれました。

汽船から撮影したクジラ

早速、伊豆諸島の大自然の歓迎を受けて、神津島に上陸しました。     

神津島では海岸のいたるところで、ツリガネニンジンが咲き誇っており、とても綺麗でした。

ハナバチ類が訪花するツリガネニンジン

私はツリガネニンジンにやって来る訪花昆虫の昼と夜での違いや、夜間の訪花昆虫の捕食者などを調査しました。昼間は主に、ハナバチやツチバチなどのハチの仲間が盛んに花へ訪れるのですが、夜では一変します。夜は静かで飛来する昆虫も減ってきて、花にはアリやカネタタキなどの徘徊性の昆虫が目立つようになりました。

そして、ふと花にライトを当てると、そこには大型のムカデやゲジが息を潜めて獲物を待っているのです。初めて目にしたときはゾッとしました。昼間には一切見かけることがなかった彼らは、夜になると静かに狩りへ出掛けるようです。始めは、夜間の調査は心細く、ムカデに噛まれないか不安でした。しかし、観察していくうちに、普段目にすることない夜間の生き物たちの暮らしを垣間見ることができて、面白くなりました。

タイムラプスカメラに映ったツリガネニンジンに登るムカデ

私の調査地は開けた海岸草地なので、静かな夜にそよ風を浴び、さざ波と虫の音を聴きながらの調査は気持ちがよかったです。空を見上げれば、満点の星空が広がっており、とても清々しい気持ちになりました。

伊豆諸島で撮影した天の川

9月にも伊豆諸島で調査をする予定なので、さらにツリガネニンジンと虫たちの関係の謎に迫れるよう頑張りたいと思います。
         
神津島・天上山



続いて、8月下旬には佐渡島でも調査を行いました。
佐渡島もツリガネニンジンが沢山咲いており、今回は大野亀で訪花昆虫の調査を行いました。     
夕暮れの大野亀とツリガネニンジン

こちらは神津島とは違って、昼も夜も様々な昆虫が花にやって来ていました。昼間の多い時間には、同時に3匹以上のハナバチが視界に入るほど盛んに飛来していました。他には鱗翅目もしばしばみられました。特に薄暮時でのガの飛来数は多く、神津島と比べてヤガ科の訪花が多く感じました。

そして、夜には彼らが姿を現します。昆虫に影響が無いよう、暗くして観察をしていたのですが、異変を感じてライトを付けると…(苦手な方はご注意ください)              

ツリガネニンジンへ来た蛾を捉えたゲジ

なんと、ゲジがツリガネニンジンに訪花したガの仲間を捕食していました。この光景を見てみたかったので思わず興奮してしまいました。

さらに、同じツリガネニンジンの株に大きなムカデも来ていました。

ツリガネニンジンで獲物を待つムカデ

朱色と紺色のコントラストが鮮やかなムカデで迫力がありました。夜の調査は面白いですね。

色々な場所で、ツリガネニンジンと訪花昆虫を観察してきて、地域によって様々な違いがあることに気づきました。特に島嶼では、それぞれ環境が大きく異なっていること、それによりツリガネニンジンの形態や、訪れる昆虫とその捕食者に違いが出てくるのではないかと感じています。これからも花と昆虫の関係をさらに調べて、面白い発見ができたらと思っています。

今回の調査で、先生方には大変お世話になりました。この場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございます。

長い記事となってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。

~おまけ~

調査で立ち寄った伊豆半島の岬にある公園では、ユウスゲが見頃でした。トビシマカンゾウとはまた違った良さがあり、落ち着いた檸檬色がとても綺麗でした。

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