2011年12月27日火曜日

卒業論文、修士論文、投稿論文

佐渡研究室の学生院生たちは、フィールドでの調査を終えて日々論文の作成に励んでいます。M2は3年間の総決算であるので意気込みも違います。年内にはなんとか修論の大枠はできそうです。年明けには修論の提出とEAFESの要旨提出があり、修論発表、生態学会発表と研究室での作業が続きます。最後の山場は、投稿論文の作成です。全員、英文誌への投稿を目指しているので前途多難かもしれませんが。4年生はまだデータ整理に励んでいます。学生によっては、秋からフィールドでデータを取り始めたので致し方ありませんが、この冬休みにどこまで追い込んでくるでしょうか。彼らもEAFESでのポスターセッションを行なうので、結構タイトなスケジュールです。1月から3月はハードなデスクワークが続きます。それとともに我々教員も大変な毎日が続きそうです。8人の院生学生から次々と論文や学会発表の要旨が送られてきて、それに対してアドバイスをし続けるわけですから。この冬休みに十分にリフレッシュしましょう。
ところで学生たちには常に投稿論文を書くように叱咤激励をしていますが、自分でも久しぶりに論文を書いてみました。日本植物学会の英文誌であるJournal of Plant Researchに下記の論文がOn lineで掲載されました。今年の4月はじめに投稿して受理まで8ヶ月かかりました。富士山の森林限界の樹木の動態を20年前と比較したものです。この調査地は私が静岡大学の4年生の卒業研究で調査を行った場所です。20年間の間に森林限界は大きく前進しました。詳しくは下記の論文をお読みください(ボス)。

Journal of Plant Research

Online First™, 13 December 2011

2011年11月21日月曜日

晩秋キセン城

こんにちは、佐渡研4年戸塚です。
もうだいぶ寒くなってきましたね。

私は今年1年、5月からずっと小佐渡東部のキセン城と呼ばれるところで
ハナイカダという低木の調査をしていました。

長い調査でしたが・・・
先週で、区切りがつきました。

これで今年はもうキセン城に上がることもないかな、と思います。
そう思うと少しさびしい気がします。


さてそのキセン城というところは
使われなくなった棚田に樹木が生えてきて、時間がたって森林になってしまったところを
みんなで手入れし直して、現在はビオトープとして管理している場所です。
今では里山管理や動植物のいろいろな研究がされています。
たま~にトキも飛んできたり、なかなかすごいところです。



水辺の動植物が数多く繁殖している数えきれないほどのビオトープと
そのまわりのコナラやクリの二次林。
キセン城には里山の美しい風景が広がっています。



私は今まで夏しかキセン城に上がったことがありませんでしたが
今年になって、
「キセン城は、秋がいちばん美しいんだ・・・」と気付きました。
木々がさまざまな色に色づいて、
差し込む光をあたたかな色に染めています。



毎日毎日、技術職員さんたちが丁寧に維持管理されているから成り立っている風景です。



低木も鮮やかな実をつけています。



上はムラサキシキブ、下はツリバナでしょうか。
どちらもきれいな色、かわいらしい姿形をしていますよね。
私はどちらも大好きです。


調査は大変なときもありますが、
こういったかわいらしい樹木に出会ってはほっと癒されています。



来年もキセン城にはお世話になります。
日々違う顔を見せるキセン城、
来年も調査の傍ら、自然の吐息を感じて
その都度心に刻んでいきたいなぁ、と思います。


(戸塚)

2011年9月21日水曜日

育林系演習及び実習2011/9/16-20

育林系演習及び実習(9/16-20)が終了しました。
人工林施業に関わる間伐・植栽と、スギ天然林での植生・土壌調査を行いました。
ナタやカマを研ぎます(道具のメンテナンス)
ナタやカマを研ぎます(道具のメンテナンス)
スギの植栽 
スギ天然林の毎木&林床植生調査
土壌調査
皆さんお疲れ様でした!

2011年9月6日火曜日

環境FC実習2011/8/26-29

2011/8/26-29に行われた公開実習「野外における安全管理」のご報告です。

木のぼり実習


ヨツバヒヨドリに訪花するアサギマダラ

ドンデン高原の放牧牛

ドンデン山から金剛山等を経由して石名へ(ルートファインディング実習)


この実習は新潟大学の学生だけではなく、森林科学または生態学などを専攻する学部学生で、特にフィールド調査を頻繁に行うことを予定している人を対象として行いました(詳しくは共同利用実習)。今年度は琉球大学からのご参加がありました。

2011年8月25日木曜日

樹木学2011

8月22日から24日の期間で樹木学の実習(3年生)が行われました。
今回の実習では樹木の枝や葉を採取して、標本を作製します。

今年採取した樹木種は全部で100種。
知らない植物たちの同定に学生も四苦八苦している様子でした。


図鑑を片手に樹木の同定
同定作業が好きか嫌いかによって、覚えられる樹種の数も変わってきます。僕も4年生まで同定はかなり嫌いでした(汗)
学生達に熱弁をふるうボス崎尾

しかし、これも樹木学の片鱗でしかないですね。
他にも課題の数々が・・・・・

今回樹木学を受講した学生達には最後まで頑張ってもらいたいです。

2011年8月22日月曜日

公開林間実習2011/8/20-21


8/20-21に公開林間実習を行いました。
島内外から参加者がありました。
霧深い演習林内の天然スギ(左の杉は人の顔に見えます)
ピットホールトラップにかかった虫達
大きいのがホソクビゴミムシ(ゴミムシ、オサムシが沢山採れました)
沢山の方のご参加、ありがとうございます。来年度も行います。またのご参加をお待ちしております。

2011年8月21日日曜日

研究室体験

新潟大学農学部生産環境科学科の3年生は、
後期から研究室配属(仮)になります。
 そこで、各自、夏休みの間に研究室訪問を行います。

佐渡研究室でも、
8月4日-6日に、
3年生に卒論生の調査を手伝ってもらい、
研究室を体験してもらいました。

調査内容は、プロットの設置で、
ひたすら測量でした。
地味な作業だったかもしれませんが、
研究はそういったことの積み重ねです。

3年生は色々な研究室を訪問して、
どうぞ自分に合った研究室を選択してください。

暑い中、調査協力して頂き、
どうもありがとうございました。

2011年8月19日金曜日

亜高山帯の森林

演習林のボスです。このお盆休みを利用して八ヶ岳の麦草峠から丸山、高見石、白駒の池とハイキングをしました。亜高山帯の森林植生は大学の卒業研究で富士山を調査していましたので興味ある対象です。分布している樹木は、シラビソ、オオシラビソ、トウヒ、コメツガなどの針葉樹に混ざってダケカンバ、ナナカマド、ミネカエデなどの広葉樹が所々に見られました。低木はハクサンシャクナゲやオオカメノキなどです。縞枯れで有名な縞枯山はすぐ近くです。今回のハイキンングの途中でも小さな縞枯れを見ることができました。枯れた上木の下にはびっしりとシラビソやオオシラビソの稚樹が分布しており、成長とともに個体密度が低下していく様子がはっきりととらえられました。シラビソとオオシラビソの区別はそれほど難しくありませんが、発芽して2、3年の小さな実生は全く区別できませんでした。以前読んだ論文にこのような小さな実生まで区別してあったと記憶していますが、どのような違いがあったのでしょうか。下の写真は成木の枝ですがどちらがオオシラビソでしょうか。



コメツガやトウヒの分布はシラビソ・オオシラビソの分布とは異なっていました。ざっと見た程度ですのではっきりとはわかりませんが、後者の2種は完全に混交していましたが、コメツガは純林を形成していました。やや標高の低いところに分布する傾向がありました。トウヒもその傾向がありましたが、まとまった林を形成しないで数本のパッチを形成していました。
我が演習林のある佐渡島には過去に亜高山帯針葉樹が分布していたことが花粉分析で知られていますが、現在は全く分布していません。しかし、亜高山帯の広葉樹はナナカマド、オオカメノキ、ハクサンシャクナゲとかなり高い密度で、しかも低標高まで分布しています。針葉樹は氷期、間氷期の繰り返しで山頂から追い出されて絶滅したのに、なぜこれらの広葉樹は佐渡の中でかなり高い優先度で分布できているのでしょうか。不思議な現象です。諏訪の七不思議の一つが縞枯れですが、佐渡の演習林の七不思議の一つがこの現象です。

2011年8月6日土曜日

ブログ開設の挨拶

こんにちは。佐渡研究室を代表してボスの崎尾均が挨拶させていただきます。佐渡研究室の正式の名称は、新潟大学農学部附属フィールド科学教育研究センター森林生態部佐渡ステーションと言います。地元の人は新大佐渡演習林と呼んでいます。演習林には500㌶の森林があり、スギ天然林、広葉樹二次林、スギ人工林などがあり、沢あり尾根ありと地形も変化に富んでいます。特徴は冬季の積雪が多いことや林床植生の豊富さです。積雪は平均2-3㍍、深いところでは5㍍を超えます。雪解け後の林床にはカタクリ、フクジュソウ、オオミスミソウ、キクザキイチゲ、シラネアオイなどのスプリングエフェメラルが咲き乱れます。雪と風の作りだした天然スギの芸術も逸品です。また、ニホンジカなどの大型の草食動物が生息しないためにシダ類を含む林床植生の豊富さには目を奪われます。私は3年前に一攫千金を夢みて黄金の島、佐渡島にわたってきました。黄金はありませんでしたが、可憐な花や海の幸が私を迎えてくれました。演習林では農学部の実習を行っているだけでなく、今年からは全国の大学の実習を受け入れています。新潟の専門学校をはじめ、大阪・京都の大学も実習に来ました。これから9月いっぱいまでは実習が目白押しです。また、ホームページにあるように学生や大学院生も佐渡研究室で日々調査研究を行っています。現在、大学院生を募集中ですので、興味のある方はぜひ一度佐渡までお越しください。これからは、佐渡研究室の教員や学生が研究室の活躍ぶりを紹介しますのでブログに遊びに来てください。佐渡にもぜひお越しください。

佐渡研究室のブログをアップしました。

研究室訪問を受け付けています。詳しくは佐渡ステーションまでご連絡ください。

2011年7月31日日曜日

大阪産業大学2011

大阪産業大学(2011年7月)の実習の様子が、こちらからご覧いただけます。