2019年4月1日月曜日

佐渡自然共生科学センター発足

新潟大学佐渡自然共生科学センターは,佐渡島の自然を科学する総合的な教育・研究センターとして本日発足しました.これまでの農学部附属フィールド科学教育研究センター佐渡ステーション(演習林)は,施設名は演習林(森林領域)となります.

 佐渡島は森里海が近接し,河川をとおしたこれらの流域研究や教育を行うには最適の場所です.また,サドガエルやサドナデシコナマコなどの新種が記載されるとともに絶滅危惧種が多く分布するなど生物多様性の高いことでも知られています.演習林のスギ天然林は江戸時代から「お林」として保護されており,数百年の樹齢を持った森林が広がっています.また,大佐渡山地では林間放牧が行われていたために半自然草原が分布しています.里山は薪炭林として長年使われ,水田などの生態系とモザイク景観を維持しています.海洋は暖流と寒流の影響で多くの海産生物が生息しています.このように佐渡島は自然環境の中での生物多様性が高いだけではなく,歴史的に人間との関わりの中でも多様性が維持されてきました.

 佐渡島にはこれまで,農学部附属フィールド科学教育研究センター佐渡ステーション(演習林),朱鷺・自然再生学研究センターそして理学部附属臨海実験所の3つの新潟大学の施設がありましたが,それが一つになって教育・研究そして地域貢献,国際交流を推進します.新センターは森林・里山・海洋領域部門からなり,これまでの3つの施設がそれぞれ担当します.3施設で佐渡島の豊かな自然環境を生かした教育・研究・地域貢献・国際交流を行うのみならず,河川で繋がる森里海の自然や,社会・歴史などとの複合領域の研究を追求します.教育に関しては,農学部と理学部のフィールド科学人材育成プログラムの講義や実習を担当するとともに,文科省教育関係共同利用拠点の演習林と臨海実験所を中心として,新潟大学の学生のみならず全国の大学からのフィールド教育を受け入れます.また,海外の大学からの学生の実習を受け入れ,共同研究の実施や協定の締結を目指します.地域貢献では地元の佐渡市と連携して,世界農業遺産やジオパーク,トキ関連のツーリズムに関するガイド教育の取り組みを支援するなど,SDGsの達成を目指したシチズン・サイエンスを展開していきます.

 新たなセンターの活動を円滑に進めていくためにも,大学関係者や市民の方々のご支援をよろしくお願いいたします.
                 センター長(兼 森林領域長) 崎尾均

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