7月に入り、大型の実習続きで更新が追いつかなくなってきました。
8月お盆明け以降はさらに怒涛の実習ラッシュとなりますので、今からこれでは先が思いやられます…。
今回は新潟大農学部+理学部の 3年生 30名がやってきました。
…実はこの実習は今年度初めて行われたため、教員・職員達にもどのような結果に落ち着くかわからないというチャレンジングな内容!
しかも、20年ほど前に演習林の尾根付近に植えられた若木を、地上部から地下部までまるごと持ち帰って計測しようという、大胆さ!!
それでもフィールド活動には手馴れた3年生、さすがの貫禄?でさくさくと実行してくれました。
根っからの生き物好きの学生さんも多く、大変なはずの作業の合間も楽しく過ごすことができました。
とても心強い!
【1日目】
まずは夕方、演習林宿舎に到着。
この日は翌日以降の調査内容の説明と、私まつくらから「菌類の生態」に関する講義を行いました。
新潟大では初めての講義でしたが、学生の皆さんにも菌類という生物やその生き方に興味を持ってもらえたようです!
(さらに詳しく知りたい方は、佐渡研究室にまた遊びに来てくださいね)
講義の後は、翌日に備えて比較的早めに就寝していたようです。
本間先生の説明をしっかり聞いて、明日は長い一日になりそうだ! |
いよいよ山での作業。
対象となる木は、ブナ・ホオノキ・イタヤカエデ・サワグルミ・カツラ・トチノキの6樹種。
班ごとにどの樹種を選んだかによって、その後の作業の大変さが変わる…かも?
午前中は地上部の測定と伐採、葉っぱをすべてむしりとるところまで。
午後はひたすら、根っこ掘り!
掘って掘って、堀りまくる!
ただし、菌根菌(植物の根と共生している菌類)は根の先端の微細な部位に付いているので、可能な限りデリケートにお願いしますね。
(作業中はとてもそれどころではありませんでしたが)
作業に使う道具一式、これだけでもトラックいっぱいです |
さあ、みんな準備はできたかな? |
さっそく伐採されたのはトチノキ |
イタヤ班は葉の裏にハチの巣を見つけて観察中 |
いち早く根っこ堀りに移行したのはホオノキ班 |
サワグルミ班も負けじと追いかけます |
ブナ班は地表面に細かい根が網状に広がり、一苦労 |
…しかし制限時間となり、最後は文明の利器ミニショベルのパワーで引っこ抜いてもらいました。
それでもブナとカツラは最後の抵抗?がすさまじく、何度か目のトライでようやく引き抜くことに成功。
本間先生…当初の予定ではこれをすべて人力でやろうとしていただなんて無理ですよー。
樹木の根は、ショベルでもぎりぎりほどの強さで張っていました |
カツラの根は予想以上の巨大さ!! |
表面の土を洗い流し、宿舎へと持ち帰ります |
特に、新鮮な葉で測定する必要がある項目(葉面積、気孔密度など)は、この日のうちに終わらせなければいけません。
私は途中で帰宅しましたが、作業は夜遅くまで続いたとのことです。
お疲れ気味?まだまだ元気? |
この山積みの葉っぱたちの処理をせねば |
この日は、残りの根や幹の測定が中心です。
根は、外生菌根菌の有無を顕微鏡で観察しました。
外生菌根は樹種によって形成する/しないが決まっているため、今回はブナでしか観察できませんでした。
本当は染色してアーバスキュラ菌根菌も観察できると面白いのですがね(実習中は時間が足りない)。
その他、TAのM2 平方くんから潜伏芽(長期間、休眠している芽)の観察についてレクチャーを受けました。
幹の皮をはぎ、その表面に芽の痕跡を探します。
学生の皆さんは、皮がつるっと剥ける気持ちよさにはまっていたようです。
カツラの根は、改めて見てもすごいボリューム! |
顕微鏡で菌根菌を観察します |
こちらは年輪を数えているところ |
潜伏芽という存在、皆さんは知っていましたか? |
皮の下はつるつるすべすべ |
剥がした皮にも情報があるので、どこに着いていたかわかるようにね |
こちらは重さを測定中…早く読んであげて! |
そこで、急遽ご褒美のお疲れさま会が行われることに。
皆さん、頑張った甲斐がありましたねー。
データがすべて集まり、樹種間の違いが鮮明に |
ハードな実習でしたが、お疲れさま! |
この日は後片付けをして帰宅です。
努力の結晶、掘られた根っこたちは演習林の敷地の一角に飾られています。
(本間先生、後でちゃんと処理方法を考えてくださいね)
さまざまな樹種の根が並ぶ、不思議な空間 |
カツラの根と比べると、背が高いはずの彼らも小さく見えます |
今回の実習も無事に終わり、ほっとしました!
来年度は別の樹種で行われるという噂。
また今回来ていた学生の中には、9月に別の実習で再度来島する予定の人も多いとか。
お待ちしていますね。
【おまけ】
運ばれてきた枝の上に、カリバチの仲間が獲物と思しきクモを一生懸命運んでいました。
途中何度も落ちそうになったり、ついつい応援したくなってしまいます。
ハチにとってはこの枝を渡りきるだけでも長い道のりなのですね。
しかし私には見えるのです、進む先にはすずらんテープ…
案の定、この後テープに絡まり四苦八苦していました |
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