9月6~10日にかけて森里海をつなぐ野外生態学実習が行われました。
この実習は佐渡自然共生科学センターの朱鷺自然再生学研究施設、臨海実験所と共同で開催し、佐渡島の森里(川)海の繋がりを学ぶごとを目的に開講されてきました。
実習では里や海での生き物採集、演習林の観察などを行い、それぞれの環境に生息する生物や植物について解説が行われました。
1日目
学生が到着するとまず初めにトキの野生復帰に関する講義が行われました(写真:大森)。
講義ではトキが絶滅した経緯や現在野生復帰のために実施されている様々な取り組みについて解説がありました。
講義の合間には実際に外に出て野生のトキの観察も行いました(写真:飯田)。
ねぐらに帰るトキ(写真:大森)
2日目
2日目はいよいよ里山での生物採集です(写真:大森)。
キセン城に造成されたビオトープで水生生物の観察を行いました。
採集した水生生物はその場で種名を記録し各生物の簡単な解説が行われました(写真:大森)。
採集されたクロサンショウウオの幼生とヤゴ(写真:大森)
午後は国仲平野に移動して佐渡島の固有種であるサドガエルの観察を行いました。
サドガエルはツチガエルとよく似た形態をしていますが、腹部が黄色いといった違いがあります。
夜は臨海実験所に移動して岸壁採集が行われました。
岸壁採集(写真:飯田)
フグやサヨリなどの魚の他、ヒトデやヤドカリ、貝類など様々な生き物を採集でき、バケツの中が水族館のような状態になっていました(写真:岸本)。
3日目は演習林パートの準備のため一時離脱していました。
学生たちは臨海実験所の近くの海で磯採集を行ったそうです。
4日目
この日からはいよいよ演習林パートの始まりです。
初めに佐渡の自然環境に関する講義を行われました(写真:飯田)。
講義では佐渡の自然を形作る要因(気候的要因や地形的要因など)、佐渡の植生、森里海の間における栄養塩の循環などについて解説がありました。
午後からは実際に演習林を散策し演習林内の森林の観察です。
実習では演習林内を車で移動しながら、渓畔林、スギの人工林、数年前まで牛の放牧がおこなわれていた半自然草原、スギの天然林、風衝地を回り、それぞれの環境についての解説が行われました。
畦畔林の解説(写真:飯田)
演習林内には大倉川という河川が流れており、その周辺ではサワグルミやオノエヤナギなどが優先する渓畔林を見ることができます。
大倉シラバ(写真:大森)
大倉シラバは数年前まで放牧が実施されていた影響で、毒のある植物(ハナヒリノキなど)や棘を持つ植物(モミジイチゴなど)など、牛が食べない植物が優先する反自然草原となっています。
5日目
最終日は大野亀を散策し実習は解散となりました。
大野亀の散策(写真:大森)
今回は4泊5日という長丁場な実習でしたが、全く異なる環境で様々な調査を経験することができとても良い経験になりました。
参加してくれた学生についてはこの実習がきっかけで佐渡の自然に興味を持ち、調査研究等で再び佐渡を訪れてくれたらうれしいです。
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