2022年4月12日火曜日

カタクリの種生物学

 昨年度から引き続き、今年もカタクリ調査のため、本州行脚をしています。佐渡島にはいない、ギフチョウ、向かいの新潟の弥彦山にいました!本当にカタクリに訪花するんですね。

カタクリとギフチョウの写真を撮りたかったのですが、間に合わず…。そのあとに訪花したスミレサイシンと撮影。

見えますでしょうか?カタクリ…ではなく
スミレサイシンに止まっているギフチョウ

カタクリの斑紋のある所とないところで
SPAD値を調べています
カタクリの斑紋の生態的意義を調べるためにSPAD値で比較をしました。集団ごとに差はありますが(時間帯や、出たての集団なのかなど・・・様々な違いによります)、斑の部分とそうでない部分で差がありそうです。

また、カタクリにはたまに、とても長い葯を持った個体がいます。すべてが長い葯の時もあれば、一部が長い葯の時もあります。
様々な訪花昆虫に合わせて?自動自家受粉のため?
ところが、長い葯は手に花粉が着きません・・・。もしかするとディスプレイに特化しているのでしょうか?
写真、反対ですいません
長い葯を持つ個体(花粉出ていません)

上:普通の葯(花粉つきます)
下:長い葯(花粉つきません)
カタクリを調べているT君が切ってマクロ写真で見たところ、長い葯にも花粉らしいものは入っているそうです。この長い葯の役割について、今後の研究結果をお楽しみに!
(このあとのブログにも載せていますが、時間差で長い葯がはじけて花粉を出し、短くなっていました・・・)

さて、カタクリの斑紋の謎に戻ります。シカなどの捕食者にたいするカムフラージュともいわれていますが、シカが生育しているところ、いないところに関係なく斑紋があったりなかったりします(佐渡島はシカが生息しておらず、斑紋もありません)。

斑紋がある集団を見てみると、日向では斑紋が多いのに対し・・・
日向の集団

日陰では少ないことに気づきました。
日陰の集団
よく見ると色が抜けたような白い斑紋はあります
また、若い個体は斑紋が多く、葉裏も色がついています(大きくなると斑紋がある個体でも葉裏の色はなくなります)
出てきたばかりの若い個体

次第に斑紋がなくなるのか・・・
食害からのカムフラージュだけではなく、光阻害に対するアントシアニンの合成のようですね。
飯縄山・黒姫山・妙高山
今週は暑かった!

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