新潟大学では、地域社会に生涯学習の機会を提供することを目的として、毎年公開講座を開講しています。
10月24日(土)、この公開講座の一つとして佐渡演習林にて公開林間実習を開催しました。島内外から10名の方が参加されました。
演習林の教職員と佐渡研究室の学生が案内しました
あいにくの雨模様でしたが、予定通り演習林に向けて出発し、まずは林内に生息する動物(ネズミ・昆虫類)の観察を行いました。
林内に生息する野生ネズミを直接観察するために、前日のうちに40個の罠(シャーマントラップ)を仕掛けておき、これを参加者の皆様に回収してもらいました。全てのトラップを回収しましたが、今回は残念ながら野生ネズミを捕獲することができませんでした。過去の実績から言えば、アカネズミやヒメネズミが観察できたところでしたが、野生ネズミの個体数は年によって変動することが知られ、今年は個体数の少ない年だったのかもしれません。野生ネズミを直接目にして観察することは叶いませんでしたが、演習林長の阿部教授が、種子散布など野生ネズミが森林生態系において果たす役割を詳しく解説してくださりました。
解説する阿部教授
気を取り直して、こちらも前日のうちに昆虫類、特に地表を徘徊する昆虫類を捕獲するために仕掛けておいたピットフォールトラップ(コップを地中に埋めた落とし穴の罠)を回収しました。こちらは、ゴミムシ類、ヨコエビ類、ワラジムシ、サワガニ、ザトウムシが捕獲できました(ちなみに、このうち昆虫はゴミムシ類のみです)。それぞれの生き物の特徴を解説してくれた蕪木助手の話に聞き入りました。
生き物の特徴を丁寧に解説してくれます
続いては、演習林の天然スギ林に向かいます。佐渡演習林は大佐渡山地の主に稜線部分に位置しますので、技術職員さんたちが整備してくれている急峻な斜面ある林道を車で進み、どんどん標高を稼いでいきます。稜線にでると、天然スギ林が見えてきます。
スギと言えば、スギ花粉症を引き起こす厄介な存在として認知している方が多いかもしれませんが、その背景の一つには戦後の木材需要に応えるために国策として推し進められた拡大造林によって日本の全国各地にスギ“人工林”(人間が苗を植えるなどして育てた林)が増加したことがあります。一方、現在、人の手がほとんど入っていないスギの天然林は少なく、佐渡島の演習林を中心に大佐渡山地にはこの貴重なスギの天然林が存在します。実を言うと、近年まで佐渡のスギの天然林はそこまで有名ではありませんでした。しかし、写真家の故・天野尚氏が撮影した天然スギの写真が2008年に開催された洞爺湖サミット晩餐会会場に展示され、これが各国首脳から称賛され、佐渡の天然スギを一躍有名にしました。
今回の実習では、この洞爺湖サミット晩餐会会場に展示された写真に写っていた「金剛杉」を見学しました(「金剛杉」というのは天野氏がつけた名称)。金剛杉の幹直径が3m近くにもなる巨木で、この地で相当な年月を見続けてきた風格があります。
巨大な金剛杉
他のスギの巨木もお見せしたかったですが、天候が悪いため、今回の現地見学はここまでとさせていただき、演習林施設に引き返しました。
施設帰着後、希望者の方には、蕪木助手を講師に、「佐渡島の自然環境とその変遷」と題したオプショナル・レクチャーを開催しました。佐渡島の成り立ち、植生の特徴・面白さ・不思議さなどをわかりやすく解説していただきました。解説後も活発な質疑応答が行われ、あっという間に時間が過ぎ、閉会となりました。
天候が悪い中でしたが、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!演習林の魅力は今日一日ではお見せできなかった部分がたくさんありますので、ぜひまたの機会にご参加いただければと思います。
また、演習林はガイド付きのエコツアーを除けば一般に公開されておらず、今回の実習のように車を使って楽に、そして演習林の研究者の解説を聞いて見学できる機会は他にはありません。この記事をご覧の皆さまも、次の機会の公開林間実習に参加されてみてはいかがでしょうか?ご参加お待ちしております。




0 件のコメント:
コメントを投稿