2021年6月28日月曜日

今年も初夏の小佐渡

佐渡はまだ梅雨という感じではないですが、来週からは雨の日が続きそうなので、晴れているうちに初夏の小佐渡を満喫してきました。意外とお花、たくさん見ることができました。

これがツツジ科なんてね・・・。ツツジ科の多様性すごすぎ。

まず目に飛び込んだのは
ベニバナイチヤクソウ
(ツツジ科イチヤクソウ属)
こちらは数が多めの
イチヤクソウ
(ツツジ科イチヤクソウ属)

地味な色をしていますが
形はとてもきれいなラン。クモキリソウ
(ラン科クモキリソウ属)

ラン科のような葉をしていますが
シュロソウ科のアオヤギソウ

APGではキジカクシ科 リュウゼツラン亜科の
オオバギボウシ
佐渡では色が白がほとんどです
さて問題です。これはんでしょう?
柄があるのでキノコでしょうか?
正解は右下の葉をご覧ください
ミヤマカタバミの果実でした
山ではモリアオガエルの声が盛んにします。モリアオガエルって、昼でも良く鳴きますね
もう大分孵化したのではないでしょうか
卵塊が溶けています
下の池には?
モリアオの成体が浮かんでいました
(左中央に浮かんでいます)
モリアオ、積極的に逃げず
じーっとしてやり過ごすことが多いようです


最後に、今年も大発生集のマイマイガ。オーマイガー!

びっちりついています!

2021年6月23日水曜日

佐渡島の外来種ヒキガエル

先日のブログでヤマカガシの頸腺毒についてアップしておりますが、筑波大のSさんがたくさんのヒキガエルを小佐渡で採取してきました。約50年前に佐渡島内に持ち込まれた移入種のため、可哀そうですがこのまま野外に離すことはなく、研究材料として使用します。

色とりどりのヒキガエルたち
佐渡島では毒をもつヒキガエルは
脅威的な存在になりかねません
各々、材料の計測をしています。
スーパーハぺチーム
ハペトロジーとは爬虫両生類学のこと。通称「ハぺ」と読んでいます。島のハぺは本当に面白いことばかりで、ここ数年、ハぺ学の学生研究が増えています・・・(笑)

先日のヤマカガシの頸腺毒のブログはこちら↓
http://sadoken.blogspot.com/2021/06/blog-post.html

2021年6月21日月曜日

佐渡ステーション裏のビオトープ造成

4月から計画を進めていた佐渡ステーション裏のビオトープがついに完成しました!

集落の方々の協力もあり予定より早く整備することが出来ました。

本当にありがとうございました。

以下ビオトープが完成するまでの様子を紹介します。 

整備前の圃場

刈り払い作業

刈り取った草はミニミニユンボで撤去しました

導水と同時に耕運機で土をかき混ぜます

完成しました!

今後は、佐渡研の学生がこれらのビオトープを用いて水生昆虫や水草の研究を進めていく予定です。

ビオトープでの調査風景や生き物の様子など随時アップしていきたいと思います!

2021年6月19日土曜日

ゴヨウザンヨウラク調査(岩手県五葉山)

先日のヨウラクツツジ調査に引き続き、今度は岩手県の五葉山にしかない固有種のゴヨウザンヨウラク調査です。もちろん入林や採取にかかわる諸々の許可申請を取っての調査です!

ゴヨウザンヨウラクは冷涼な場所に生育。
花は白とピンクのツートンカラーです。
ウラジロヨウラクと同じツツジ科ヨウラクツツジ属ですが、他のヨウラクツツジとはとても変わった形質があります。
それは、葉表に2列の荒毛が対称に生えています

葉裏には主脈に荒毛
南下、独特のツツジですよね・・・。葉に毛が多いツツジは多いですが、なぜこの荒毛なんでしょう?
そして、サクラソウ科のクリンソウ(Primula japonica)も見ごろでした。
花は花茎を中心に円状につき、それが数段に重なる姿が仏閣の屋根にある「九輪」に似ていることから名前の由来となっている(Wikipediaより)とあります。確かに段々で花が車輪のようについていました。
五葉山はとてもきれいな山でした。沢沿いにはヤマツツジも見ごろでした。
そのような湿ったところには黄色いマッチ棒たちも群生。
カンムリタケ(Mitrula paludosa)
だと思われます。
10年以上ぶりに来ましたが、太平洋側の孤立した山では、貴重な生物がたくさん遺存していそうです。

2021/6/14-16 島嶼生態学特論実習

614日から23日の日程で島嶼生態学特論実習が行われ、新潟大学の院生4名、静岡大学の院生3名、日本環境専門学校の学生2名の計9名が参加しました。佐渡研究室の学生も急遽も併せて3名追加参加しました。

この実習では佐渡の演習林や妙見山を散策しながら島嶼に形成された森林の特徴を観察しました。

また、植物写真家のいがりまさしさんを講師としてお迎えし、野外での植物写真の撮影方法について、講義や現場での実演を交えながら解説していただきました。

まず初めに、白雲台の展望台から佐渡島の成り立ちについて解説があり、佐渡島を構成する大佐渡と小佐渡はかつて独立した2つの島であったことなどが説明されました。

続いて妙見山の散策

道中のブナ林

ガクウラジロヨウラク

山頂付近の植生は低木や草本で構成されていました。ほとんどの植物が人間の胸ぐらいの高さしかなく、これは冬場に雪の上に飛び出した枝が低温に耐えられず枯死してしまうことが原因だそうです。

ステーションに戻ってからは実習参加者が普段行っている研究を紹介する場が設けられました。分野の異なる様々な研究について情報が得られることも共同利用実習の醍醐味です。学生同士でも活発な意見交換がされていました。

続いていがりさんによる講義が行われました。写真撮影の基本知識(露出補正など)について丁寧に解説していただきました。

実習2日目は演習林内で実際に植物を撮影しながら、被写体の選び方や構図のとり方、撮影に適した光の向き、一眼レフ以外のカメラ(コンパクトカメラやスマホ)で植物を撮影する際のコツなどについて解説していただきました。

いがりさんのアドバイスを受け熱心に撮影をする学生

コンパクトカメラで撮影したアカツメクサ

スマホで撮影したホオノキと空

ステーションに戻った後は日中に撮影した写真の講評会を行いました。学生ごとに被写体を捉える切り口が異なり、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。

最終日は大野亀を散策

遊歩道の脇に咲くトビシマカンゾウの花

今回は23日の短い期間でしたが、写真撮影の様々な技術についてお話を伺うことが出来、大変勉強になりました。いがりさん、今年も講師を引き受けていただきありがとうございました。

2021年6月18日金曜日

只見町でのモリアオガエルとウラジロヨウラク調査

 季節ものの野生生物の調査は、コロナ禍でも待ってはくれません!しっかり2週間の健康管理と行動管理の上、6月2週目に福島県只見町に学生と調査に行きました。只見町ブナセンターの方々にはいつもお世話になっております!

佐渡のモリアオガエルの田んぼ型と森林型の比較のため、本州の典型的な森林型モリアオガエルの調査を行う学生1名と、佐渡と本州での花形質と遺伝的比較を行うために今回はウラジロヨウラクの調査で訪れた学生1名です。なお、どちらも入林や採取許可申請は取っています。

モリアオの卵塊採取。高い木の上に泡状の卵塊がありました。2人で協力して採取しています。卵塊のなかの卵がいくつあるかを数えるために、採取します。

このあと、高枝切ばさみと卵を受ける網のセットで
卵塊を取るべきだと、気付きました・・・

つづいてウラジロヨウラク調査のため要害山へ。
ツツジ科のウラジロヨウラク(Menziesia multiflora)
コマルハナバチが盛んに来ていました!
訪花昆虫撮影用にビデオもセットしました!只見町は萼(ガク)が短いウラジロヨウラクタイプですが、佐渡島を含む日本海側はガクの長いガクウラジロヨウラクという、ウラジロヨウラクの変種になります。
こちらは佐渡のガクウラジロヨウラク
(Menziesia multiflora var. longicalyx​)

調査をしているT君が、ウラジロヨウラクの短いガクのあたりはネバネバの粘性があり、アリなどがくっついていたと気付いてくれました。ガクのネバネバやガクウラジロヨウラクのガクの長さの生態的意義などの研究も面白そうです!

つづきまして、調査中に見た花たち。
只見と言えばヒメサユリ。
ちょうど見ごろでした!

こちらはウラジロヨウラクと同じく釣鐘型の花を持つ
ツツジ科のアカモノ

ヒメサユリにたくさんのハナムグリが来ていました。クモ(訪花昆虫を捉える?)もたくさん。

こちらは私の調査対象種だったオオコメツツジ!やはり目についてしまいますね。コメツツジの研究の論文はこちらをご覧ください↓
http://sadoken.blogspot.com/2019/10/blog-post.html
オオコメツツジ
最後に要害山から見た只見町です。
調査、お疲れ様でした。しかし、サンプル採取をしてからが計測やデータ整理の本番ですね。データをしっかり生かして、論文執筆まで頑張ってください!

2021年6月17日木曜日

6月5日ホネホネオンラインの開催(全国で標本作成)

大変遅くなりましたが、6月5日に開催されたホネホネオンラインについての報告です。

大阪自然史センターの西澤さんの企画で、全国で標本づくりの様子をオンラインで中継&交流をはかるという初企画!オンラインはzoomで行い、最大25接続くらい、画面の向こうに十人とか五人とかいたところもあったので50名くらいの参加があったのではないかと思います。大盛況でした!

佐渡演習林で参加したのは、1家族(3年生と6年生も)、1学生、講師、私の6名でした。佐渡と越後の固有種「サドモグラ」の標本づくりで参戦でした。全国から「うらやましい!!」と声が上がったサドモグラ。贅沢ですね(笑)
講師のKanaさんにサドモグラの計測の仕方を習っています

オンラインで、全国からの標本づくりの様子を中継
こどもたち、食い入るように見ています!
3年生も6年生もとても集中してサドモグラの皮むきを終えました!初の皮むきでしたがもうプロ級!2人とも昨年の10月のイノシシ掘り起こしワークショップにも参加していただき、佐渡の哺乳類研究を担ってくれそうな将来有望な若者たちです!

さて、その他の地域の参加チームは以下の通りでした。タイワンリスなど全国ご当地の哺乳類標本作成の様子を見ることができ、とても楽しいオンラインイベントでした。

えぞ骨団Sapporo(北海道札幌市)
奥州市牛の博物館 標本作り自主練習会(岩手県奥州市)
岩手大学自然史探偵団(岩手県盛岡市)
佐渡自然史ネットワーク(新潟県佐渡市)
戸隠ぼうけん団・長野市立長野高等学校生物部(長野県)
神奈川県立生命の星・地球博物館(神奈川県小田原市)
滋賀県立琵琶湖博物館 ほねほねくらぶ(滋賀県草津市)
なにわホネホネ団(大阪府大阪市)
倉敷市立自然史博物館 脊椎動物グループ(岡山県倉敷市)
横倉山自然の森博物館(高知県越知町)
他、個人で宮城県、香川県、東京都(出張中のホネ団員含め)、千葉県、奈良県、兵庫県、鹿児島県などから参加でした!あとドイツからも。

次回もあります!オンラインからでも、実際に標本作成したいという方も、是非ご参加ください!

2021年6月4日金曜日

佐渡島のヤマカガシ

今日は筑波大学の学生さんにヤマカガシを見せていただきました!

ヤマカガシは相手を噛むための牙毒と頭の後ろの部分に蓄えられている頸腺毒の2つを持っており、頸腺毒を持つのは日本国内では本種のみだそうです。

牙毒はすべての個体が持っている一方、頸腺毒はヒキガエルを食べる個体しか作り出すことができません。

ヒキガエルは約50年前に佐渡島内に持ち込まれた移入種であり、現在は小佐渡南部にしか生息していないことから、佐渡のヤマカガシは頸腺毒を持つ個体とそうでない個体の両方が存在する可能性があるのだとか。

今後は、ヒキガエルの分布とヤマカガシの頸腺毒の有無との関係を調査するとともに、この毒の獲得がヤマカガシの行動や形態に与える影響についても研究を進めるそうです。

佐渡島での研究によりヤマカガシの新たな生態が発見されることに期待ですね!



調査で捕獲されたヤマカガシ


ヤマカガシから採取された頸腺毒