タイトルが情報過多ですね(笑)
意味を捉えるまで混乱してしまう方もいるかもしれません。
まずは写真をどうぞ。
落ち葉の隙間から謎の黒い棒がにょっきと出ていました |
掘ってみると…何かに絡みついている? |
これが「地下生菌ツチダンゴに寄生するキノコ、ハナヤスリタケ」です。
見ても何がどうなっているのかわからない、という方もいらっしゃるでしょう。
こちら、下の丸いお団子のような塊がツチダンゴ属(Elaphomyces sp. )のキノコです。
直径は4cm程度 |
拡大すると表面に突起があります |
外皮表面はごつごつとした突起に覆われています。
一部が裂けていますが、内部の詳細な様子はわかりません。
地下生菌を専門に研究する神奈川県博の研究者の方に見ていただいたところ、宿主はツチダンゴ(Elaphomyces granulatus)かアミメツチダンゴ(Elaphomyces muricatus)と思われるが、標本の状態から正確な同定は難しいとのことでした。
私が赴任する前の2012年に、当演習林でも地下生菌調査が行われたとのことですが、その時にツチダンゴ属菌は観察されなかったようです。
https://sadoken.blogspot.com/2012/11/blog-post.html
実は、この地上からは見えないキノコを探すにはなかなかの根気と勘が必要です。
以前に別の場所で調査に同行させていただいたことがあるのですが、可能性の高い場所をひたすら熊手で掻き続け、1日かけてようやく1個(4人で計4個)の収穫でした。
まるで宝探しです(笑)
一方、このお団子にはオレンジ色の根っこのようなもの(菌糸)がまとわりついており、上に向かうにしたがって黒く堅い棍棒状になっています。
こちらがハナヤスリタケ(Tolypocladium ophioglossoides )という別のキノコです。
地上に出ているのは黒い部分のみ |
拡大すると凹凸がはっきり見えます |
棍棒の先端は、クレーターのようなぼこぼこした突起に覆われています。
キノコに寄生する菌寄生菌ですが、冬虫夏草の仲間として認識されています。
(見た目は冬虫夏草サナギタケとよく似ています)
しかし虫に寄生することはなく、もっぱら菌専門、特にこの地下に潜ったまま生活するツチダンゴ属菌に特異的に発生するようです。
つまり…
お団子状の地下で生活するキノコから冬虫夏草状のキノコが生えている、ということなのです!
いったいどうしてこのような特殊な生き方をしているのでしょうか…。
両者それぞれに個性が強いのに、組み合わさるとますます個性的ですね。
この標本は、10月末の定例キノコ調査の際に発見されました。
佐渡島内では初めての分布記録かもしれず、今後の分類や生態研究においても重要な情報となる可能性があります。
また地下生菌と菌寄生菌ともにそれほど多く見つかるわけではないことなどを考慮し、今回の標本は神奈川県立生命の星・地球博物館に所蔵してもらうことになりました(標本番号 KPM-NC 28497)。
いつか面白い研究に結び付くと嬉しいですね。
佐渡でもキノコの調査シーズンの終盤に差し掛かりましたが、ちょうど今頃はナメコやナラタケ類などの食用キノコも多く発生しています。
くれぐれも、わからない種類や自信のない種類は食べないようにご注意ください!!
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