2020年4月23日木曜日

ツバキキンカクチャワンタケ(椿菌核茶碗茸)というキノコ

昨日の記事で少し触れられていた、ツバキキンカクチャワンタケについてご紹介します。

ツバキ属植物の花に感染して病気を生じ、落花の一部から薄茶色の小さなお茶碗型のキノコを作る菌類です。
シイタケやナメコなどの食用キノコとは形もかなり違いますが、分類上も遠く離れたグループです。
毒は確認されていませんが食べるのに適するものではありませんので、観察して楽しみましょう。
3月末、新潟市内の大学構内のヤブツバキに発生したツバキキンカクチャワンタケ
 しかし、感染した落花からキノコとして目に見える形になるのは、なんと一年後(それ以上のことも)。
キノコを作るまでの間は、菌核と呼ばれる黒く堅い組織を作り、土中でじっと耐えているのです。
こうして出てきたキノコも、私たちが目にすることが出来るのは数週間程度です。
…まるでセミのような生き方ですね。
佐渡では約1ヶ月遅く、満開の山桜と一緒に観察できます
地面の中から掘り出すと長い柄がついており、柄の基部にある黒いかたまりが菌核です

「菌が病気を起こすメカニズム」や「病気を防ぐための方法」については調べられてきましたが、「そもそも野生状態でどのように生きているのか」については、意外とわかっていないことも多いようです。
さらに、ヤブツバキの花からの発生は多く報告されていますが、ユキツバキに関する情報は確認出来ていません。

ツバキの花の美しさを楽しみたい方にとっては、花びらを汚す病原菌として嫌われがちな菌類ですが、この菌が存在することにもきっと意味があるはず…。

これから数年をかけてこの菌を野外で観察し、室内で実験を行い、生き様をじっくり追っていきたいと思います!

まずは生きた菌株が欲しい…ということで、無事に分離できますように

0 件のコメント:

コメントを投稿