2025年8月10日日曜日

夏の神津島調査

実習続きで、その隙間に行っていた野外調査のブログ全然更新できていなかったのですが、今回はひさびさの調査シリーズに戻ります。先週まで行ってきた神津島でのツリガネニンジン調査でみた植物などを紹介します(ごく一部)。津波と台風の影響で、長旅になりました…。

まずは、昨年度まで調査をしていたAさんの調査地の一つに行ってみました。
だがしかし…
花が咲いた後に、枯れた!?
ものの見事に、花が枯れておりました。おそらく猛暑と渇水のせいです。早速調査に暗雲が立ち込めます。
といいつつ、いろいろ観察
ニオイウツギ
でかいです

なにかくわえているオカダトカゲ

オオバヤシャブシ
でかいです

タマアジサイ
でかいです

タマアジサイ
シャクナゲのような蕾ですが
でてくるのは、やはりアジサイなのですね

ガクアジサイ
園芸品種のアジサイの原種ですね
でかいです
本命のツリガネニンジン、林の傍ではちゃんと開花していました!
今回は昼と夜での訪花昆虫の除去実験。昼のハナバチなどと、夜の蛾で、どちらが繁殖に寄与しているかを調べます。その他、自然自家受粉や自然受粉も調べます。
調査は日の出前後と日の入り前後。このため、寝不足なのですが、日中は野外に出てしまいます。

神津島と言えば天上山ですよね!
表砂漠の方を登りました。
佐渡島といっしょですね
なにが?
海浜植物が山の上のガレ地にあるということです
何だかわかりますか?(イソギク。アシタバも生えています)

佐渡と一緒ですね
なにが?
山の上は霧がかかるということです

ハチジョウオトギリ
(ハチジョウなんたら、も、多いです)

こっちも海浜植物の一つ
なんだかわかりますか?
(ワダンです。食えます)

佐渡島でもみました、トコロシリーズ
ウチワドコロ
いえ、「シマ」ウチワドコロ、です

そして、懐かしの(以前研究していた)コウヅシマヤマツツジ。
 コウヅシマヤマツツジはオオシマツツジ(ヤマツツジ)とハコネコメツツジの雑種
佐渡と一緒ですね
なにが?
島では本州では出会っていないもの同士が出会って交雑する
「出会いの場」ということです


ほんとは、こちらの方を調べていたのですけどね
まだ咲き残っていたハコネコメツツジです

本州にあるもので、なんか似ている種があったら、シマとかハチジョウとかイズとかコウヅとかオオシマとかハコネとかつけとけばいいのではないかと思います。オオとかも(葉が大型化しているものが多いですよね)。
あと、トゲナシとかつけとけばいいです
トゲナシサルトリイバラ
植食者がいないのでトゲがないのですが
人が草刈りする場所では、棘が少し復活しているので、やはり油断は禁物です

ハチジョウアザミとかも大型化していてトゲトゲないですね。

(≧∇≦)
キキョウ!野生の、キキョウ!

ほかにもハクサンオミナエシの変種とされるシマキンレイカとか、言ってはいけない貴重な植物とか、色々見れました。が、きりがないのでこの辺にしておいてあげます。

船に乗って本土に戻り、また船に乗って佐渡へ戻り…、久しぶりの佐渡は雨が降った後で、夜は涼しく、昼は霧がかかっていました。

2025年7月31日木曜日

野生植物生態学実習(7/18-20)

 7月18日~20日は野生植物生態学実習が開催されました。
新潟大学の専門科目で、3年生の配当となっている実習です。「落葉低木・常緑低木の生活戦略を指標する生理学・解剖学的特性の調査と解析」がテーマとなっていて、学生は演習林内のいくつかの樹種の計測および掘り起こしを行いました。






初日は港から直接演習林へ向かい、対象木の選定と計測を行いました。
2日目も同じ場所での調査です。ここでは、地上部サイズ計測や、専用の機器による光量子密度・蒸散速度の計測などを行いました。


宿泊施設に戻ってきてからも、作業は続きます。
ここでは採取してきたサンプルに対して、葉面積、生重量、SPAD値などの測定を行いました。

年輪を数えている様子。K先生も真剣です。

最終日には、今回の測定結果を班ごとにまとめて発表しました。

これから各々が研究室に配属され、卒業研究を始めることになる学生たち。その足掛かりとは言わないまでも、研究活動の一連の流れを体験できる有意義な実習となったのではないでしょうか。

(K.S.)

2025年7月25日金曜日

佐渡自然共生国際実習 International Fieldwork Program for Ecological Sustainability in Sado Island(7/22-25)

 7月22日~25日に、佐渡自然共生国際実習が実施されました。新潟大学の学生に加え、海外の大学に所属する日本人学生や、国内の大学に在学する外国人留学生が参加し、所属や国籍のバラバラな学生同士での交流を深めました。せっかくの機会なので、今回の記事では英語と日本語の併記で進めてみたいと思います。
 From July 22nd to 25th, the  International Fieldwork Program for Ecological Sustainability in Sado Island was held. In addition to students from Niigata University, Japanese students enrolled in overseas universities and international students enrolled in universities in Japan participated, deepening exchanges among students from diverse backgrounds and nationalities. Since this is a valuable opportunity, I would like to proceed with this article in both English and Japanese.

初日は妙見山でのブナ林観察と、浮遊選鉱場の見学!佐渡での代表的な自然植生と史跡を回ることで、佐渡島の成り立ちや遍歴に思いを馳せました。
On the 1st day, we observed beech forests at Mt. Myoken and visited the Floating Ore Processing Plant in Sado Gold Mine! By touring Sado's representative natural vegetation and historic sites, we were able to contemplate the formation and history of Sado Island.



2日目午前は、新穂地区へ移動し、里山とトキ、そしてカエルのレクチャーを受けました。
On the morning of the 2nd day, we moved to the Niibo area and attended lectures on Satoyama, Japanese crested ibis, and frogs.


本間先生による里山とトキの講義の様子。
Lecture by Professor Homma on Satoyama and the Japanese crested ibis.




こちらは高津先生による里山の生き物とカエルの講義。
This is a lecture by Professor Takatsu on creatures living in the satoyama and frogs.


そして午後には、トキの野生復帰を目指して整備された環境保全型農地やビオトープに出向き、生物観察を行いました。
In the afternoon, we visited environmentally friendly farmland and biotopes that have been developed with the aim of returning the Japanese crested ibis to the wild, and observed the wildlife there.



トンボやメダカ、ザリガニなど、夏の日本の田んぼらしい生き物に出会えましたね。
We encountered creatures typical of Japanese rice paddies in summer, such as dragonflies, medaka fish, and crayfish.


こんな希少な生物も!?コオイムシです。
Such a rare creature! It's a water strider.


そのあとには、トキのテラスにて望遠鏡でトキの観察も行いました。
とても暑かったにも関わらず、けっこうたくさんのトキが見れました。
After that, we observed Japanese crested ibis through a telescope at Toki Terrace.
Despite the intense heat, we were able to see quite a few Japanese crested ibis.

3日目には演習林に入り、天然スギをはじめとした森林、河川、自然草原などを回ることで、様々な植生やそれらの繋がりを観察しました。
On the 3rd day, we entered the Niigata University Forest and observed various vegetation and their connections by touring the forest, rivers, and natural grasslands, including natural cedar trees.

﨑尾先生によるスギ天然林の講義の様子。
Lecture by Professor Sakio on natural cedar forest.

風衝地を見学。
We visited a 
wind-blown area.

これはスギの太い枝が足のように見える"連結杉"。その迫力に圧倒されています。
This is a “connected cedar” with thick branches that look like legs. They are overwhelmingly impressive.


この日は最終日の夜ということで、懇親会も行われました。
お菓子や飲み物を囲んで、かなり話も弾んだようですよ!
Since it was the final night, a social gathering was also held. Everyone enjoyed snacks and drinks, and the conversation seemed to flow quite well!

最終日には、佐渡島最北端の景勝地"大野亀"を見学しました。見事な快晴ですね!
On the last day, we visited Ono Kame, a scenic spot at the northernmost tip of Sado Island. What a beautiful sunny day!



ソフトクリームおいしそう!
The soft serve ice cream looks delicious!

佐渡島の陸域の自然環境をもれなく体験できた良い実習でしたね!それぞれの景色を見たときの皆さんのオーバーリアクションが、何より楽しかったです!また佐渡で会いましょう!!
It was a great field trip where we were able to fully experience the natural environment of Sado Island! Seeing everyone's overreactions when they saw each scene was the most enjoyable part! Let's meet again in Sado!

(K.S.)

2025年7月15日火曜日

夏を告げる赤い花_オオアカバナ

今年もオオアカバナ咲きました!毎年、増減が見られたり、咲く場所も変わったりして冷や冷やしますが(環境省RL絶滅危惧Ⅱ類(VU))、良かったです。夏は海岸沿いに赤い花が増えますね。カワラナデシコ、エゾミソハギ、ノアザミ…。赤はチョウがよく来る花の色ですが、蛾が訪花していました。

そいえば、ヤシの実が演習林の前に漂着していました(写真写すのを忘れた)。夏っぽい…(漂着は冬にも多いですが)。

オオアカバナ
フェーン現象でかなり暑い佐渡ですが、花を見ると涼しくなります。

2025年7月11日金曜日

例のあのクジラのその後

 着岸、腐敗していました😄
種同定のためのサンプル採取
(ボケはぼかし効果ではなく、クジラ脂のせい)

2025年7月9日水曜日

新潟大学/静岡大学の島嶼生態学特論実習(7/1-3)

 7月最初の実習は、新潟大学の科目で他大学にも公開されている、
島嶼生態学特論の実習でした。

この実習では、特別講師として植物写真家のいがりまさし氏をお招きし、
野外での植物写真の撮影方法を学びます。

初日は港から直接妙見山へ出向いての植物観察&撮影練習!



必死に撮ってます!

楽しんでますね~~~

こんな植物が撮れました!
ギンリョウソウ

イブキジャコウソウ

ツルアリドオシ

夜はいがりさんの講義と、学生ひとりひとりによる
研究紹介を行いました。

2日目は演習林での野外撮影。天気は曇りでしたが、
いがりさん曰く撮影においては「悪くない天気」とのこと。


旬のエゾアジサイやウツボグサを被写体に、
必死に撮影する学生たち。




演習林の見学も兼ねて...

そして夜には、各学生が撮ったベストショットを全員で共有し、
いがりさんからアドバイスをいただきました。

学生の写真は別のところで公開するため、今は掲載しませんが、
代わりに私が撮ったベストショットをいくつか公開します。
ぜひ吟味してみてください!
サンカヨウの実(スマホ×外付けマクロレンズで撮影)

   センチコガネ(スマホ×外付けマクロレンズで撮影)

バイケイソウの花
(K.S.)