2012年12月31日月曜日

世界遺産古都奈良より

世界遺産に登録されている古都奈良の文化財として春日山の原始林があります。以前のブログにも書きましたが、ここの森林は常緑広葉樹林と冷温帯林が接する場所にあり、種の多様性が高いことで知られています。今回は、十数キロの春日山の遊歩道を散歩してきました。イチイガシ、コジイなどの常緑広葉樹に加えてイヌシデ、コシアブラ、タカノツメなどの冷温帯の樹種も多く見られました。これらの中にはかなり大きなサイズの巨木も見られましたが、全体的にはサイズは小さく、スギの人工木もかなり混交しており原始林とはほど遠いと感じました。これだけのスギの樹木が植えられたということは、過去にかなりの人為の影響があったと思われます。

ちょっとオーバーな表現の石碑

あちこちにシカに餌を与えないでくださいと書いてありましたが、シカ煎餅はとくべて扱いです。土産物屋でシカ煎餅を売っていましたが、これは人間用でシカには与えないでくださいと書いてありました。

昨日の雨で水量が増加していました。遠くからでも滝の音がはっきり聞こえました。 

これは朝日観音です。鎌倉時代に岩に刻まれたそうです。 

これはムクロジです。樹上には橙色の果実がびっしりとついています。果実は臭いにおいがしますが、昔は石鹸の替わりに洗濯に用いたそうです。

ムクロジの果実です。

これはシダ植物のウラジロです。お正月の供え物に用いられます。

イズセンリョウの果実です。

 これは外来樹ナンキンハゼです。造園木として植栽されましたが、それが自然の森林に逃げ出し、急速に増加しています。ナンキンハゼの分布拡大はアメリカでも問題になっています。一旦、侵入、分布拡大するとそれを取り除くのは至難の技です。

春日山原始林の中で写真のような足跡を見つけました。1円玉と比較してみてください。いったい、なんと言う動物の足跡でしょうか。

本日で2012年も終わりますが、この1年はどんな年でしたか。新潟大学演習林は文科省の教育関係共同利用拠点に認定され、多くの大学に利用していただきました。どうもありがとうございました。来年もぜひ多くの利用をお願いいたします。それでは、良いお年をお迎えください(ボス)。


2012年12月27日木曜日

冬の佐渡

佐渡にも本格的な冬が訪れました。北西の風が吹きまくり、積雪も見られ、恒例のフェリーの欠航も始まりました。冬の風景をお送りします。


この枯れたように見える樹木はカシワの低木です。海岸の強風によって低木化しています。カシワは葉が褐色に変わってからもすぐに落葉することはなくしばらく枝に着いています。これは、カシワは海岸に分布することが多いため塩分が葉痕から浸透しないように落葉時期を遅らせていると言われています。

クリスマスイブには10cmほどの積雪がありました。

相川から演習林へ向かう外海府の道路は積雪でアイスバーンとなっています。

外海府の海岸には高い波がおしよせます。手前の茶色い泡は「波の花」と呼ばれて風に乗ってあちこちに空中を漂っています。

海岸に近づくと波に引き込まれそうになります。でも、この波は同じ形がなくいつまで見ていても飽きません。

これはZ坂からみた岩谷口の風景です。

これは6月の同じ場所です。

最後に波の動画です。お楽しみください。

(ボス)









2012年12月16日日曜日

春日山原始林

奈良の東大寺、春日大社の北側には春日山原始林が広がっています。原始林といっても厳密にはかなり人手やニホンジカの影響が入っています。この森林は暖温帯と冷温帯の境界にあるため種の多様性が高いと言われています。おもな林冠構成樹種は、イチイガシ、ウラジロガシ、コジイなどの常緑広葉樹ですがケヤキやイヌシデなどの落葉広葉樹も混交しています。ここでも外来種問題があり、ナンキンハゼがかなり入り込んでいます。シカの影響、ナラ枯れも含めて日本の森林が抱える問題の縮図と言えます。

イチイガシの樹形

イチイガシの堅果

林床はニホンジカの影響で植生がありません。春日山原生林は天然記念物です。


春日山原始林の林内

コジイの林冠。樹冠がモザイク状にお互いが重ならないように配置されている。

春日山原始林の遠望

天然記念物ニホンジカ。狩猟はできません。

ナラ枯れ対策でコナラの幹にカシノナガキクイムシが侵入しないようにビニールを巻き付けている。

若草山山頂付近のシバ地、毎年1月に山焼きが行われる。

2012年12月12日水曜日

只見町伊南川調査

昨年の7月下旬に新潟・福島豪雨で只見川水系で大洪水が発生しました。この大規模な自然撹乱のあとに河畔林がどのように更新していくかを調査しています。

上流から流れてきた倒流木で形成されたデブリの調査。ヤナギ類の幹から多くの萌芽が発生していた。

ブナのあがりこ。雪上で伐採するとこのような樹形になる。

これはブナを地表面近くで伐採したところから発生した萌芽。これらの萌芽幹を下の写真の穴に入れて炭に焼いた。



只見のマッターホルン、蒲生岳。斜面にはミズナラが低木化した(?)ミヤマナラが分布。
休みの時間に十割そばの打ち方を習って食べました。

雨上がりの夕方には、大きな二重の虹が現れました。
(ボス)




2012年12月11日火曜日

地域交流

10月の下旬に演習林の近くにある関集落で祭が開かれました。この祭には一昨年から佐渡研究室の学生も参加して太鼓を叩いています。祭本番までには、太鼓の練習も何日かあり、それにも学生たちは参加していたようです。学生たちは地域の行事に積極的に参加して、佐渡での生活を満喫しています。

海辺沿いの関集落です。

朝から夕方まですべての家の玄関口で太鼓を叩きます。三十数軒あるので1日がかりです。


4年生が頑張って叩いています。たいへん上手でした。私も見よう見まねで叩いてみました。和太鼓のリズムは難しいですね。

夜は家々を回ってごちそうをいただきます。私も四軒ほど梯子しました。
(ボス)

多様なカエデ科の葉

11月中旬に秩父に調査に行った時の写真です。今年の紅葉はどこでも美しく見応えがあります。

イチョウの紅葉です。


秩父はカエデ科やカバノキ科の樹木が多く多様性にとんだ森林が分布しています。写真はカエデ科の落葉です。形や色が様々です。樹木名、わかりますか。1枚だけカエデ科以外の葉が入っています。
(ボス)



秩父で調査

11月初めに秩父に調査に行った時の写真です。9月末まではびっしり詰まった実習のために研究に費やせる時間はほとんどありません。久しぶりにフィールド調査を楽しみました。 
太平洋側の秋は雲一つない晴天です。新潟では考えられない天気です。埼玉にいた時は意識していませんでしたが、太平洋側と日本海側の天候の違いを改めて感じました。


朝起きると車のフロントガラスには霜が降りていました。

今年の紅葉はすばらしく、ハウチワカエデも真っ赤に染まっていました。

調査地の中の木製の標識はツキノワグマに傷つけられ体毛が付いています。

落葉はふつう左のヤマブドウ、その右のイタヤカエデ、チドリノキ、オオイタヤメイゲツのように赤や黄色に変化しますが、シオジの葉は緑のままです。
(ボス)




2012年12月2日日曜日

第9回FCシンポジウムが開催されました!

12月1日(土)五十嵐キャンパスにおいて「第9回 FCシンポジウム」が開催されました。
テーマは ~農林業・食品産業現場で活躍する先輩からのメッセージ~。
林野庁宮城北部森林管理書の高橋友和氏(生産環境学科卒)の発表
「100年先を見通した森林づくりを目指して」
懇親会
100名以上の参加があり、大盛況でした。