2019年11月14日木曜日

2019/11/10 佐渡市環境フェア

11月に入り、佐渡もどんよりした曇り空や寒い日が続くようになって参りました。
演習林事務所の周辺の海では強風で白波が目立つ日も多くなり、日本海の冬の到来をひしひしと感じます。
今年の佐渡の初雪予報は12/2だそうですよ。


久しぶりの気持ちよい快晴となった日曜日。
新潟大学 佐渡自然共生科学センターの3施設は「佐渡市環境フェア」に出展してきました。

このイベントでは、佐渡島内で環境保全等の活動に取り組む団体などが活動紹介を行います。
佐渡に自然に存在する動植物や地質の調査や保全、地域特産の食べ物の生産などについて、実際に活動している人たちとの交流を通じて知ることができます。
今年は例年のアミューズメント佐渡から場所が変わり、新穂地区の「ときのむら元気館」で開催されました。

演習林ブースでは、ポスターで演習林内で見られる自然や教育研究活動の様子を紹介しました。
演習林は島内でも僻地(?)にあるため、佐渡の人でも実際に訪れたことがないという人も多い様子。
天然スギの森は一度見てみたいと思うのだけれど、なかなか機会がないというお話も聞かれました。

演習林では、毎年8月に一般向けの「公開林間実習」を開催しています。
未就学の小さいお子さんから大人まで入林できる貴重な機会ですので、ぜひご参加下さいね!!

併せて、技術職員の方々が制作した木工品の販売も行いました。
雪で入山できない冬場に、演習林で採れた木材を使って一つ一つ丁寧に手作りされた品です。
実際に手に取った人からは、滑らかなさわり心地と木目のやさしい風合い、木のにおいが気に入った!という感想も。
オーダーメイドも受け付けていますので、ご希望の際は演習林事務所または関係者までご連絡ください。


実際に参加してみると、もっと木工品の詳細を説明できるように聞いてくればよかった、子供向けの触って楽しめる展示も用意すればよかった…など改善案もでてきました。
次回の出展をイメージしながら、少しずつ準備していきたいと思います。

左から、森-里-海と佐渡自然共生科学センターの3施設が並びます
地域の子ども達による鬼太鼓で開幕しました
演習林のブースには、技術職員さんの手作りの木工品も並びます
臨海実験所の生体展示は、普段なかなか目にする機会のない海の生物を間近に観れる人気スポット

2019年11月4日月曜日

水彩画家(生態学者)デニスさんの個展_今日まで古町!

リマインドです。水彩画家(生態学者)デニスさんの個展が今日まで古町で開催されています!新潟や佐渡など、その瞬間を生き生きと切り取った美しい水彩画を是非ご鑑賞ください!

以下、再アップロード
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水彩画家で生態学博士のデニス・クラブルル氏がフランスのナント市・新潟市姉妹都市提携10周年のイベントで来日されています。現在、新潟市古町通五番町のJAMギャラリー蔵でツバキとそれらに集まっている動物の絵が展示されています。11月4日まで(10:00-16:00)なので、お急ぎください!

今年4月に佐渡に来島された際に描かれた絵も展示されています。
佐渡島での絵のコーナー
国見山のユキツバキだけではなく、
トキやオオルリ、棚田も描かれています!
来島された際の記事は以下です。

http://sadoken.blogspot.com/2019/05/blog-post.html

デニスさんは、ナント市にたくさん植樹されており、市民に愛されているツバキに興味を持ち、さらに私が執筆した三宅島でのツバキとメジロの研究論文をきっかけ(!)に、日本や中国、ベトナムを訪れ、たくさんのツバキを観察して絵を描かれています。生態学者なので、種の特徴や生き生きした感じをとても捉えています。ツバキに関わる生物も描かれているところが素敵です。
是非、足を運んでいただければと思います!

2019年11月1日金曜日

2019/9/28-10/1 森林施業研究会・大阪教育大学_佐渡島実習

9月末、前の実習から同日入れ替わりの形で、森林施業研究会・大阪教育大学の合同実習が行われました。
演習林内の多様な植生環境の見学に加え、人工林の間伐や管理における問題点の議論など「施業」に関わる内容も体験的に学ぶことができる内容で実施しました。
森林施業研究会の参加者は、各都道府県から集まった農林業のプロの方々。
教職を目指している大阪教育大の学生さんには、生物学的な知識だけではなく林業社会を学ぶ貴重な経験となったようです。


【1日目】
夕方に到着後、崎尾先生から佐渡島の自然に関する講義が行われました。
山での活動には慣れている方が多い今回の実習ですが、佐渡ではきっと普段関わっている森林とは違った風景も見られるはずです。
翌日からは、いよいよ実際に演習林や周辺の植生観察と森林施業体験が始まります!

【2日目】
この日は演習林内のスギやヒノキアスナロの天然林、半自然草地である大倉シラバなどを見学しました。
私は担当ではなかったため写真でご紹介できませんが、翌日話を聞いたところでは皆さん楽しく観察されたご様子。
日中、大王杉周辺でのトレッキングは大雨に降られてしまったとの事でした。
しかし演習林では、雨や霧で濡れたスギの姿も風情があって良し、と説明しています。
また、この日の夜は森林施業研究会の3名による発表が行われ、佐渡ゼミとして公開されました。
今回は3名の方にご講演いただきました
【3日目】
午前中は演習林が管理する人工林で、実際に間伐作業を体験してもらいました。
とはいえ、今回は新潟大の学内実習のように学生さんが伐採するわけではありません。
生長して込み入った林内で、どの木を将来の材として残し、どの木を間伐するかを決める「選木」を行ってもらいました。
学生さんはそれぞれ自分が「残したい木」とその理由を考え、また周囲の木を伐採するとどのような影響が出るのかを一生懸命考えていました。
この作業、実は正解は人それぞれお考え方による、という難しい課題です。
将来、何十年も先の森林の姿をイメージしながら、自分が育てたい材を得るために何を優先してどのように管理をするのかを考える必要があります。
周りの大人たちがまたいろんな意見を言うものだから、学生さん達は混乱しながらも自分なりの答えを出そうと一生懸命でした。
自分が選んだ木の、生長をじゃましている木を見極めて間伐します
周辺の林床では、ヤマシャクヤクが実をつけていました
また、周囲の木を間伐するにも一苦労。
枝や幹が引っかからないように倒さなければならないため、木の特性と周辺の様子をよく観察して倒す方向を決めます。
そこは演習林の技術職員さんの腕の見せ所。
狙った方向、わずかな木々の隙間にぴたりと倒す光景は圧巻でした。
間伐すると、暗く閉鎖した林間に明るい空間ができました
伐採後の切り株を観察中
ここしかない、という場所にぴたり
林道沿いの少し湿った木陰には、アケボノソウのかわいい花
続いて以前「育林系実習」で苗木を植栽した周辺で、お昼ごはんです。
この日も一度空が暗くなりかけましたが、昼には持ち直し暖かく気持ちよい日和でした。
秋の恵、山栗の実もはじけています
みなさんが試食しているもの、わかりますか??黄色くて苦い…キハダです!
昼食後の移動途中に渓畔林にも立ち寄りました
午後は、演習林に近い石名集落の天然スギを見学しました。
ここは一般の方も入れる散策コースが設置されており、佐渡の天然スギを比較的容易に観察できる貴重な場所です。
演習林とも近いため似た雰囲気ですが、また違った造形のユニークなスギの姿を目にすることができます。
天然スギの間を気持ちよく散策できる道です
枝が複雑に伸びる「羽衣杉」をパチリ
途中の展望台で一休みの談笑中
こちらはナラタケ、食べられるキノコです
一日の終わりは、お決まりのバーベキュー。
大人が多い今回は、いつもより焼いて食べてのペースが早いように感じました。
手際がいい、ということでしょうか…?
佐渡研学生も加わって交流を深めました
ボスの演奏もお決まりのひとコマで、盛り上がりを見せました
【4日目】
最終日は青空が広がり、とても気持ちのよい散策日和。
大野亀、常緑樹で形成される熊野神社社叢林に立ち寄りつつ、港へと向かいます。
すっかりススキに覆われて秋も終わりを感じる風景に変わりました
センニンソウは、この白い毛が仙人のひげに例えられたとか
熊野神社社叢は、大佐渡北部では珍しい常緑樹メインの植生です
落葉樹林帯から来た参加者が多く、違う雰囲気を楽しんでいました
ご参加いただいた皆さん、佐渡の多様な植生をたくさん観察して満足していただけたでしょうか。
またぜひ別の季節にも来島していただき、違う一面を見ていただきたいと思います!


この実習の次に予定されていた公開型の「基礎から学ぶ森林調査実習」は、先日猛威を奮った台風19号と重なってしまったため中止とさせていただきました。
演習林では大きな被害はありませんでしたが、敷地内の看板が根元から倒れる、演習林に繋がる市道が数箇所土砂崩れで通行止めになるなどの影響は生じました。

全国的に台風等大雨被害が続いておりますが、各地の皆様のどうぞお気をつけてお過ごし下さい。
各地の今後の順調な復旧復興をお祈り申し上げます。

今回で今年度の主な実習報告は一段落となりますが、この後も演習林の様々な情報を随時発信していきます!