2016年8月24日水曜日

公開林間実習2016(8/20~8/21)

 一般公開林間実習2016を開催しました。この実習は、一般から参加を募って毎年開催しています。今年は、島内、島外から計26名の参加がありました。一泊二日の日程で、佐渡島の自然についてのミニ講義、森林性の生物(ネズミ、昆虫)の観察、スギ天然林のトレッキングを行いました。

ネズミや昆虫を捕まえるためのトラップ
(シャーマントラップ、ピットホール)を仕掛けます。
どのあたりに仕掛けたら効果的でしょう?
ネズミや昆虫の気持ちになって・・・
今年は小学生の参加者もいましたよ!
夏休みの良い思い出になったでしょうか?
明日のスギ天然林のトレッキングにそなえ、
簡単にスギ人工林の観察も行いました。
崎尾教授による佐渡の自然についてのミニ講義
質問もたくさん出ました。
実習の楽しみの一つであるBBQ!
炭も参加者に熾してもらいます。
相変わらず、豪華な食材が並びます。
なんと、佐渡牛やアワビもありました!


前日に仕掛けた、シャーマントラップ。
ネズミは入っているでしょうか・・・
やった~、ネズミが入っていました!
(写真のネズミは、ヒメネズミ)
今年は、約35個のシャーマントラップのうち、
3個のトラップにネズミが入っていました。
(アカネズミ2匹、ヒメネズミ1匹)
アカネズミとヒメネズミの違い、観察できたかな?
(観察後、ネズミは離しました)
ピットホールにも、オサムシ、ゴミムシ、ハネカクシなど
地上を徘徊する様々な昆虫が入っていました。
この日は、天気に恵まれ、関越えから外海府が一望できました。
スギ天然林のトレッキングでは、
皆さん、スギの巨木に感動!
冬の雪圧の凄さを、崎尾教授が体を張って説明する場面も・・・
皆で食べるお弁当、美味しかったです。
今年の公開林間実習はお天気に恵まれ、無事に終了いたしました。皆さん、またの参加をお待ちしています。ありがとうございました!

2016年8月22日月曜日

アカソ喫煙中?

 先日、実習中にアカソの花粉が風によって飛散している光景を見かけました。アカソはちょっと山の方に行くと道ばたなどの明るい場所に生育しており、めずらしい植物ではありませんが、花粉の飛散は初めて見ました。花粉飛散は、まるでアカソが喫煙しているみたいで、おもしろかったです。

アカソ Boehmeria tricuspis
北海道〜九州にかけて分布しており、山地や道ばたでみかける
ことができます。




2016年8月9日火曜日

伊豆諸島(三宅島・神津島・大島)で調査とセミナーを行いました

 7/29から8/2まで伊豆諸島の三宅島・神津島・大島で開催された教員免許更新講習に同行して、島の植物の調査と、伊豆大島・椿セミナーを行いました。佐渡研の学生さんも同行しました(前のブログのどこかに姿が写っています)。
 教員免許更新講習では、シマクサギとクサギ、ハマカンゾウ、ツリガネニンジン、シマホタルブクロの花形質を計測して、島間の比較を行いました。
シマクサギを計測中。
クサギを知っている方なら分かると思いますが、
花筒の根元が白く、全体に小さ目。
そして花糸が短い。
こちらは佐渡のクサギ。
上のシマクサギとの違いがわかりますか?
以下はクサギの研究をしているMさんの研究紹介
http://www.lab.toho-u.ac.jp/sci/bio/geoeco/pages/syokai2007/mizusawa/mizusawa.html
 こちらは伊豆大島で開催していただいた椿セミナーの様子。大島高校の教室に、ざっと70名以上?集まっていただけました。ツバキに関する関心の高さがうかがわれます。ツバキを研究してきた甲斐があったというものです!
教室にびっちり!
ツバキをめぐる相互作用系(種子散布、花粉媒介、捕食)から、
噴火の影響、系統関係まで、みっちりお話ししました。
(写真は趣旨説明をしていただいているH先生)
さて、調査です。島めぐりは三宅島から始まりました。
2000年噴火から、16年たった三宅島の雄山。
以前は地面が露出していた中腹でも、
ススキなどがしっかり根づいています。
雄山からの眺め。
これから行く神津島が左。
右に、式根島、新島、利島も見えます。
この日は富士山まで見えました。
三宅島から始まったたびは
漁船へ乗って神津島へ。
三本岳を過ぎると、横波でした。
神津島に到着しました。
港付近の洞窟には、黒曜石が黒光りしていました。
神津島の天上山!
神津島は佐渡と同じように花の宝庫と言われており
天上山はこの時期もサクユリやキキョウ、
そしてハコネコメツツジも少し咲いていました。
 続きまして、伊豆大島です。
この木はわかりますか?
イヌツゲです。
普通は低木ですが、伊豆大島では林冠木にもなっています。
島での先住効果とニッチ開放でしょうか?
伊豆大島の三原山のカルデラは、霧で神秘的でした。
溶岩の上に白くポツポツ見えるのは…
サクユリです!
カサブランカの原種と言われて
大きく、匂いが強いのが特徴。
今回は3つの島を巡りましたが、隣接しつつも島の成立の歴史や、植生もさまざま。日本の島は改めて興味深いと感じる島めぐりでした。

2016年8月5日金曜日

ポルトガル アゾレス諸島でIsland Biology 2016 Conference

7/18-22にポルトガル沖、大西洋にあるアゾレス諸島でIsland Biology 2016 Conference(国際島嶼生物学会2016)に参加し、シンポジウムを開催しました。アクセスが大変な島での開催ですが、著名人の参加も多く、400人以上の参加だったそうです。

正確には以下の名称です。http://www.islandbiology2016.uac.pt/
II International Conference on Island Evolution, Ecology, and Conservation
神戸大学H君の発表の様子
開催したシンポジウムの内容は以下です。
Biogeography of species interactions in the Japanese Izu Islands
1. Explanation of aim
 Masami Hasegawa, Biogeography and evolution in the Japanese Izu Islands system, a unique geological setting of formation and collision/accretion dynamics of volcanic islands to mainland through tectonic movement.

2. Impacts of volcanic activities on Miyake-jima Island
 Takashi Kamijo, Colonization of two early successional plant species with different nitrogen usage affects abundance of soil animals and herbivorous insects, and ecosystem process on volcanic deserts in Miyake-jima Island, Japan.
 Harue Abe, Impacts of volcanic activity on bird pollination system in an island ecosystem.

3. Biogeography and species interaction
 Leiko Mizusawa, Is tetraploid Clerodendrum trichotomum in Japanese archipelago derived from hybridization of diploid ancestors?
 Masayoshi K. Hiraiwa, Low pollinator functional diversity in oceanic islands influences pollinators’ floral niches
 Takeo Kuriyama, Evolution of color pattern among island lizard populations with different predation regimes
 Masami Hasegawa, Prey-predator dynamics and ongoing co-evolution between lizard and snake on the Izu Islands.

もちろん、ポルトガル料理も満喫
海に囲まれているためシーフードがおいしいです。
奥は牛肉ではなくマグロステーキ。
タコも柔らかくておいしいです。
 中日に行われていたフィールドトリップではテルセイラ島の洞窟(噴火で出来た)と森林を観察。
光がさすところにはシダ植物。
洞窟の中には固有種の小さいクモもいました。
ここは日本?と思うようなスギ林
アゾレス諸島には1870年ごろに木材利用のため日本のスギが移入され、島の環境に適応して、すっかり島の住人になっていました。また、テルセイラ島はアジサイが有名ですが、こちらも日本が故郷。伊豆諸島に自生するガクアジサイの栽培品種アジサイが、世界中に渡って行ったものです。
アゾレスは大西洋のホットスポット(地学の意味ですよ)。
なので、カルデラも観察。
テルセイラ島のAngra do Heroísmo は町が世界遺産。
白い壁に赤いレンガの屋根がかわいいです。
1980年1月1日に大地震が起こったそうで、
その後、みごとに復興。
 ここからはアゾレス諸島の(主に)固有種。会場に飾ってあったものです。








コーヒーブレイクとポスター発表タイム
最後にSociety for island biology
発足へ!
学会最終日の夜はテルセイラ島の白夜祭で
白い服を着た住民が音楽や食事を楽しんでいました。
帰路で寄ったサンミゲル島は
アゾレスで一番大きく、国際空港もあります。
空港で出会った学会参加者のYuvalさんと
ツアーの車を借りて、森へ。
ここでもスギがなじんでいました。
 アゾレスから帰って数日後には、日本の伊豆諸島へ。世界の興味深い島の話にふれてなお、日本の島の面白さを実感して・・・
ジャンプ!
(伊豆大島のカルデラで)

2016年8月4日木曜日

留学生実習(7.29-30)

トルコのアンカラ大学、エーゲ大学、それに新潟大学に留学しているタイ・ロシアなどの留学生実習が行われました。20人の参加者がありました。この2日間の会話は、すべて英語でした。1日目は、臨海実験所と金山を訪れました。



最初に理学部附属臨海実験所を訪れ、安東所長の説明を受けました。そのあとで、ウニやタコなど海の生物を観察しました。


相川の佐渡金銀山の見学です。坑道の中は天然のクーラーが効いており、とても涼しかったです。なんと、金の延べ棒を取り出した学生が、3名もいました。驚きです。

演習林に到着してから、施設の利用説明が行われ、崎尾教授が佐渡の自然について30分ほど講義を行いました。

夜は、サザエ、ムール貝、イカなど海産物のBBQで楽しみました。また、いつもの通り、BBQではBGMが流れました。少々、耳障りだったかもしれません。

2日目は、演習林の 天然スギのトレッキングです。冬の豪雪が作り出したスギの芸術に見入っていました。山を歩くのに慣れていない学生も多く、ぬかるみで転んだりしました。

 風衝地で昼ごはんです。雲もなく日本海がはっきりと見えました。いろいろな国の学生同士が交流できて、有意義な2日間でした。