2020年5月18日月曜日

5月上旬~中旬の佐渡の花々

ゴールデンウィークが明けて以降、佐渡も急激に暖かく(ときには暑いほどに)なりました。
周囲の自然も、すっかり春らしさが消えて緑が濃くなってきましたね。
イネ科花粉症の身にはつらい季節です…。

さて、今日は相川や小佐渡の山中、演習林などで観察された花々をご紹介します。
ボリュームたっぷり目でお届けします。

緊急事態宣言は解除されましたが、まだしばらくは長距離の移動を控えて用心しましょうね。
アケビの雌花...紫色の3枚の萼(がく)とチューブ状の雌しべが、宇宙人のような奇妙な形です
アケビの雄花...雌花とは違い萼が白っぽく、雄しべはほぐれた毬のような形です
石垣の隙間からは多様な植物が顔を出しており、おすすめの観察場所です
ヤブニンジン...小さい白い花が、線香花火が飛び散るように咲いています
タニギキョウ...葉が透き通るような淡いグリーンで、小さく可憐なキキョウの仲間です
ヤマシャクヤク...白い大きな花は存在感が抜群で、つい中を覗き込みたくなります
クマガイソウ...開いた扇子のような葉も目を引く、ランの仲間です
まだ蕾でしたが、ちょっと失礼して萼をめくると、おじさんのあご(のような花)が膨らみ始めています
シラネアオイ...中心には雌しべが2つ、段々と人の顔に見えてくる?(私はボタンに見えます)
ザゼンソウ...何だかイモっぽい葉(悪口ではない)がいるなぁと思っていたら、それがザゼンソウでした
サンカヨウ...昨年はこれほど雑草のように多く生えていた記憶はないのですが…気づかなかっただけでしょうか

そして、何よりもご紹介したいのは…

サンカヨウに気を取られて立ち寄った場所で、急斜面の上部に見慣れない濃いピンク色を発見!

オオサクラソウです!
昨年は花期に遭遇し損ねたため、念願かなっての初対面です。
オオサクラソウ...とても野生の株とは思えない、洗練された姿です

こちらは、しっかり根付いていそうな立派な株

サクラソウの仲間は園芸品種としての人気も高いため、乱獲の対象となり野生株の数は激減してしまいました。
生息に適する環境も減り、ますます希少な存在となりつつあります。

花には雌しべの長さが異なる2タイプがあり、違うタイプ同士で受粉を行うことで近親交配を避けているそうです。
短花柱花(雌しべが雄しべより短く見えない)タイプ...5つの雄しべがきれいに並んでいます
長花柱花(雌しべが長く飛び出ている)タイプ...わかりやすいくらい飛び出ていますね
通常は両タイプがおよそ半数ずつ存在すると考えられますが、急激な株数の減少などでタイプに偏りが生じると、遺伝的な多様性も低くなってしまいます。
今回見つけた個体群は6株とそれほど大きな群落ではありませんが、花タイプはちょうど3:3でした。

佐渡演習林は貴重な自生地なので、このまま長く咲き続けてほしいです。


【おまけ】

阿部先生が演習林内で面白いかたくりを発見しました。
最初は何だ!?と思いましたが、蕾のときに誰か(ウサギでしょうか)に先端だけかじられちゃったんですね。
後ろが本来のカタクリの花、中心の模様だけきれいに残って別の花のように見えます

0 件のコメント:

コメントを投稿